2013年6月29日土曜日

Woe/Withdrawal

アメリカのブラックメタルバンドの3rdアルバム。
2013年にCandlelight Recordsから。
一口にブラックメタルといって、今となってはもかなり細分化されてきている。このバンドはハードコアの要素が結構強い。
いわゆるポストブラックということなのだろうが、前に紹介したDeafheavenのようなオシャレな要素は皆無。ブラックメタルの邪悪さをハードコアの持つ明確な攻撃性で補強したような音楽性とでも表現したら良いだろうか。ちょっとフランスのバンドCelesteに通じる音楽性。

何と言っても曲の作りがすごい丁寧で格好いい。
分厚いギターもハードコアっぽいのだが、トレモロを多用していて聴いていると確かにブラックメタルなのが面白い。
ボーカルはブラックメタルとハードコアのちょうど中間といったわめき声がメインだが、たまに低音強調した歌唱法や妙に怪しいクリーンボイスで歌い上げたりして結構多彩。
たたき過ぎのドラムはなんだかたまにグラインドコアっぽい派手さがある。
それらのアンサンブルが生み出す曲の構成が最大の魅力か。基本的に突っ走るバンドなのだが、いい具合に曲に構成をつけていて、轟音トレモロリフ、色気のある妖しいアルペジオ、長過ぎないギターソロはいいアクセントになっている、そしてフックのあるメロディアスさ。何ともいえない残響の切ない趣と、疾走する轟音の攻撃性の見事な調和である。素晴らしい。
全体的にじめじめとしたひがみっぽい感じが無く、爽やかという訳には勿論いかないけど妙に謙虚なところがある。Metallumのページを見ると当初歌詞のテーマはサタニズムだったが、現在はもうちょっと個人的かつ内省的なテーマにシフトしているようだ。ここの部分もそういった音楽性と関係があるのかもしれない。

プリミティブブラックのような独特の閉塞性はないが、次世代ブラックの一翼を担える実力があるバンドだと感じた。
かなーり格好いい、おすすめのアルバム。

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