2013年8月4日日曜日

SIMI LAB/Page 1 : ANATOMY OF INSANE

さてこのブログ、音楽や本の感想を書いて紹介しているが、過去の記事をぱっとみていただければ分かると思います。非常にジャンルに偏りがあり、音楽に関してはほぼメタルと呼ばれる範疇にあてはまり、さらにその中でもニッチなものばかり。デス、ブラック、ドゥーム、スラッジ聞き慣れない変な冠詞ばかり並んでいるのがわかるかと。
俺Hip-Hopとか聴かねえからさ、じゃなくてほとんどメタルしか聴かない。ヒップホップどころかクラシックだって、テクノだって、ジャズだって、歌謡曲だって、レゲエだって分かりゃあしない。

今回このブログで紹介するのは日本人のHip-Hopです。恐らく始めてではないでしょうか。
ちょっと考えると自分でもなんであまりHip-Hopをあまり聴かないのか分からない。音楽性が合わないからといったらそれまでなのだろうが、それだとあまりに身もふたもない。
考えるとどの音楽にもアティテュードのようなものがあってそれが気に入らないのかもしれません。Hip-Hopというと「最強な俺、ストリートで悪さばかりしていたが、マイクをとり、天下を取り、金と名声を手にする」のようなイメージがどうしてもあります。これHip-Hop好きな人からしたらとても嫌なんだろうな。メタルだっていろんな人たちが多様な音楽を想像していますから、十把一絡げに例えばロンゲで不潔でジャケットと同じようにひどくダセエといわれたら、やっぱりちょっとイラっとするでしょう。
Hip-Hopにだって勿論いろんな人たちがいて、いろんなテーマをそれぞれのオリジナリティを多彩な音楽に表現しています。思えば「俺が、俺が」に代表されるような自信過剰で何より外向的な歌詞が、内省を好む私に会わないのかもしれません。内省的な世界を持った降神やMakkenzといった日本人のHip-HopのCDは持っていて楽しんでたまに聴きます。

自分語りも長くなってしまいましたが、今回紹介するSIMI LABは日本は関東を拠点に活動するHip-Hopグループです。結構有名なのかな?
面白い経緯があるグループで、Wikipediaによると2009年頃youtubeにアップロードした動画により一躍脚光を浴びたとのこと。名前が有名になって、メンバーのソロアルバムなどが先行して発表された後に満を持してという形でこの1stアルバムがリリースされたそうです。それが2011年のこと。

SIMI LABというのはかなり沢山のメンバーが在籍しているようなのですが、このアルバムで中心となるのは5人くらいのメンバー。
さてあまり詳しくないのでと言い訳しつつレビューすると、トラックはどれも非常にシンプルで基盤となるビートがあって、アクセントとなる音が何種が追加されているものの、メインは各メンバーのラップです。どの曲でも4人のラッパーが入れ替わり立ち代わりというかたちで、ラップを披露してきます。途中フックと呼ばれるサビ(の様なものだと思うんだけど)がはいっていいアクセントになっています。ラップはちょっと語弊があるのを承知でいうけど声が大きくない。なんていうのか、俺が!俺が!って人を押しのけて叫ぶような下品さがない。意外にみんなちゃんとまじめに等身大の声でラップをしている印象です。
Hip-Hopは歌詞のことを特にリリックっていて大切にしますよね。声が楽器というか音楽の仕組み上声での表現がとても重要になるからだと思います。
このグループも歌詞はHip-Hop的なところはあります。「俺のスキルはかなりすごい!」という感じ。でも思ったのが、リリックが結構内省的。前にあげた降神ほど物語的で(いい意味で)意味不明ではないんだけど。
インタビューとかみてみたら各メンバーがハーフだったり、でも日本語しか喋れなかったりで色々と普通じゃない少年時代を過ごしたよう。
そんなある意味どこにも所属できなかった異邦人であった彼らにはHip-Hopという音楽が自分のアイデンティティを確立させる一つの手段であったのかもしれません。彼らのリリックにはひねくれた変わり者である彼らが、Hip-Hopという手段を通して私たち大多数に向けた決意表明や宣戦布告にも聴こえます。ひねくれちゃいるし、Hip-Hop特有のビッグマウス感はあるのですけど、なんならちょっと青臭いところがあって、でもそれが生真面目で好感が持てます。

小難しく色々と書いてしまいましたが、単純に聴いて格好いいんですよね。
普段メタルばっかり聴いている人におすすめ!って訳じゃないんだけど、ものは試しでちょっと聴いてみたらいかが?という感じ。意外にはハマるかもしれません。
私はとても好きです。

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