2013年10月19日土曜日

Earthless/From the Ages

アメリカはカリフォルニア州サンディエゴのサイケデリックロックバンドの3rdアルバム。
2013年にTee Pee Recordsからリリースされた。
色の数はそんなに多くないのに鮮やかなデザインがとても目を引く。ジャケットに書かれている動物はよく見るとちょっとずつ変なところがある。
前作が2007年発表だからちょっと間が空いた感じになるのかな。
その間もライブアルバムなどいくつかはリリースがあったようだ。

Earthlessは結構独特なバンドだ。3人組のバンドというのは沢山いるのだろうが、インストでこういう音楽性というのはなかなかないのでは。(私が知らないだけだろうが。)
Rocket from the CryptやOff!(残念ながら聴いたことがないんだが。)などでドラムを叩いているMario Rubalcabaという人、元NebulaのIsaiah Mitchellがギター、Mike Egintonがベースというトリオ。
ジャンルというとサイケデリックロックやあるいはストーナーというふうにカテゴライズされることが多いようだ。

まずドラムが土台を作る。堅実だが手数が多い。やたらと叩きまくるようなひけらかすタイプではない。ドラムだから重いのは勿論だが、重苦しくはない。乾いていてしっかりしている。(ドラムなんで当たり前だが)リズミカルでドラムの音だけで体が動いちゃうそんな叩き方である。
ベースはどぅるどぅるした低音で、ドラム同様やたらと目立つようなタイプじゃない。しかし良ーく聴くとなかなかに動き回っている。這い回っている。当然だが、3人しかいないわけだから、ただコードにそってでろでろ弾いているようではつまらない。後述するが兎に角ギターが暴れまくるバンドだから、不良の兄ちゃんを陰ながら支えるよくできた弟のように俺が家を支えるよ兄ちゃんとばかりに普段は堅実にリフを弾きまくる。まじめに見えるんだけど、よくよく聴いているとなかなかこれはこれでえぐい。ものすごいテクニカルな注文をさらっと弾いてさらにおまけまで付けちゃう、そんな印象。
さて、ギターだ。このバンドはギターが顔である。ボーカルがいないインストバンドだから音の種類的に自然とギターが前に出るのは分かるのだが、こいつが兎に角弾きまくる。曲は大抵10分以上あるのだが、こいつその間弾いて弾いて弾きまくる訳である。そのスタイルはまさに縦横無尽、変幻自在といった様で中音のリフを奏でていたと思ったら、恐ろしいようなギターソロを、おいおいいつまで弾くんだいと心配になるくらい弾き倒す。私は実はギターソロはあまり好きじゃない。嫌いじゃないがあんまり弾きまくられると辟易してしまう。(曲の雰囲気を損なわなければ全然大丈夫だ。)それがどうだ、この気持ちのよさは。めちゃくちゃな陶酔感である。
サイケデリックロック、サイケ、普段はあまり聴かないジャンルだが、このバンドを聴く限りは音が聴いている頭の中で視覚イメージすら持つような色彩豊かな音楽だ。
ただこのバンドで面白いと思うのは、まずテクニック重視でないこと。絢爛ともいえるが、一人のメンバーがテクに走ることが皆無だ。すごいことをさも普通にさらっとやってしまう。だから自然に耳に入ってくる心地よさがある。
もう一つは派手なんだが、結構堅実だ。というのは独特の陶酔感があってまるで別次元につれてかれるような音楽性だが、徐々に盛り上がるその構成がすごいんだ。円を描いてだんだん高度を上げていくような、土台から高い塔をがっしり作り上げるような、そんなまじめな感じがある。冒頭が地味だ、スロースターターだ、というのではない。初めから全開なんだが、それにしたって曲の盛り上げ方が半端ない。リフとソロが渾然一体となってはっきりいってされるがままで何が怒っているのか全然分からんというのに、このノリの良さはなんだ。どんどん高みに登っていって、曲の本当のラストで完成を迎えて気持ちよく放り出されるような気持ちよさがある。
ボーカルがいない分演奏側の感情が伝えにくい。でもCDを最後まで聴くとなんとな〜く分かるような気がする。それは僕らを楽しませようという心意気と、本人たちの楽しさがこちらにも伝わってくるのかもしれない。

最高に格好いいロック。オススメ。

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