2013年10月6日日曜日

heaven in her arms・Cohol/刻光

日本のバンド2組によるスプリットアルバム。
2013年にDaymare Recordingsからリリース。

heaven in her armsといえば恐らくConvergeの超名盤「Jane Doe」収録の曲名からバンド名をとったと思われるハードコアバンドで、その音楽性といったらenvyの衣鉢を継ぐのは俺らだといわんばかりのストレートすぎる激情性と3本のギターから鳴るポストロック的幻想的美しさを見事に調和させて人気を博しておるようだ。
一方のCoholといったらブラックメタルに強く影響を受けたその音楽性に、あろうことが一番そぐわなさそうな日本特有の暑苦しさを歪みなく融合させちまった不敵なバンドである。
両バンドに共通しているのはたびたび激情性と評される暑苦しさである。若さ故の世界対俺、つまり世界レベルに肥大した自己意識と、一方で徹底的に内省的に自我を掘り下げた井戸の底のような世界観を中二病的な言葉で持って紡ぎだし、あふれんばかりの感情とともに文字通り叫び声と吐き出すのである。(私の個人的な見解であることをここにお断りしておく。)
また共通して、heaven〜は乾いたポストロック的な静寂を内包したインストパート、Coholは冷徹ともいえる圧倒的なトレモロリフの応酬、という激エモーショナルと対極をなすような要素を封じ込めて、見事な二項対立ともいうべき対比を曲の中で成立させているのも共通した特徴だと思う。
そうなるとなるほどと頷けるスプリットであることは明白なのだが、続けて聞くことで両者の違いがより明白に意識されたりして、面白いアルバムです。両者3曲ずつ計6曲収録。

heaven〜は3曲中2曲はインスト。
3曲が一連の流れになっているようで、ポストロック的なギターの掛け合いが美しくも力強く、予兆を感じさせるに激しさを増していく1曲目。幕間的な意味合いを持ちつつ3曲目に繋げる短い2曲目。一転して劇的激しさで持って再度開幕する3曲目。
特に3曲目の容赦のない激情っぷりったらさすがの一言で、やはりこのバンドは一つの曲中でも激しさ一気に音数を落としたパートの移動が抜群にうまいなと感じる。
仰々しい言葉もこの曲調このスクリームにはジャストフィットでグッド。縦横無尽なギターフレーズはピロピロしすぎないでメロディアスでいい。エモーショナル過剰なボーカルといい対比になっている。

Coholは3曲中1曲がインスト。
いきなり重々しく始まる1曲目。塗りつぶすような真っ黒さ。ブラックメタル然としたスクリームはより暗く、禍々しい。ギターの数は1本だが圧倒的な重量感でパワー不足はみじんも感じさせない。音の方もよりメタリックだ。ごりごりしたメタリックなリフとかき鳴らされるようなトレモロリフの対比がたまらん。
幕間的な暗さの中に美しさのあるインストを挟んで3曲目。
凄まじいブラストに複雑なリフを乗っけて高速で吹っ飛ばすようなカオス。アウトロの不穏なナレーションもグッド。やっぱりドラムがすごい。

両バンドともこんな格好よかったけ?と思ってしまった。
素晴らしいスプリットだと思います。
激オススメ。

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