2013年10月6日日曜日

TRC/Nation

イギリスはロンドンのハードコアバンドの3rdアルバム。
2013年にNo Sleep Recordsからリリースされた。
TRCというバンド名は「The Revolution Continues」の略とのこと。なるほどハードコアらしいバンド名である。
結成は2003年、メンバーチェンジもあったようだが、写真を見るとまだ若そう。
私は彼ら音楽を聞くのはこのアルバムが初めて。

基本は疾走感がある今風のハードコア。速すぎるというのではなく、乗りやすい聞いてて心地よいスピード。曲はだいたい3分か4分くらい。
流行のビートダウンも結構大胆に取り入れていて、疾走するパートから一転、メタリックなリフをごりごりこじるようにビードダウンに持っていくところは結構気持ちいいもんだ。
ドラムは重々しいバスに回しの速いタムでメリハリが利いている。ベースはこらまた重いが派手さはなく屋台骨を支えるタイプか。ギターは基本はリフに徹しすぎないハードコアタイプだが、ビートダウン含めてきっちり流行を押さえつつ個性を出してきて良い。全体的にハードコアの信条を持った分かりやすい演奏スタイルで凝りすぎてない分一本気で好感が持てる。
さて最大の特徴はボーカル。ツインボーカルで片方は絞り出すようなマッチョながなり声で、苦しそうに聴こえるくらい暑苦しいハードコアスタイル。
もう一人が問題で、こいつが跳ねるような独特のスタイルなのだ。私は初めて聞いた時「あれラップ?」と思った。確かに一見ラップ然としている。兎に角リズム重視で歌い回しや節が(曲によってはあります。)希薄で、矢継ぎ早に言葉がぽんぽん飛び出してくる。質的にも叫ぶでなく、がなるでもなく、喋るでなく、何とも形容しがたい。新生のHip-Hopのラップかと思うとやっぱり少し違う。あそこまでかっちりしていないし(かといって粗いって意味じゃないんだ)、ロック的な勢いとノリがある。
ただこの跳ねるようなまくしたてるようなボーカルが実にバックの演奏とよく合うのである。速いときはほんとに跳ね馬のようにギャロップで左から右からひっきりなしにせめてくる。遅いときは叩き付けるように一語一語突き刺さるようだ。片割れの新生ハードコアボーカルオンリーだとともすると単調になりがちなところ、全く質の異なるこちらの声が重なることでお互い個性がより際立ってメリハリがつく。

一昔前のラップメタルなんてのをちょいと思い出すのだが、結構印象が異なる。
一つはラップっぽいボーカルがラップっぽすぎないところ。かといってラップもどきの早口言葉のようなバッタ物感がない。非常に自然になじんで聴こえること。
もう一つはバックがかなりしっかりしたハードコアなのだ。ハードコア特有の重々しさはやはりメタルのそれとは異なる。殺伐としていてブルータルだが、決意に満ちあふれている感じで邪悪さがあまりない。変にメロディアスなサビを安易に導入したりしないところも大変よい。根っこがハードコアだ。やんちゃに見えて結構硬派なのかもしれない。

その他にも曲によっては女性のボーカルを大胆にフィーチュアしたり、妙にハードロックぽいギターソロが飛び出したり、とかなりどん欲で面白い。
これが新しい時代のミクスチャーなのかな〜と感心。

メタルだと重々しすぎるな、というあなたにお勧め。
また20代後半から30代前半でジャストニューメタルにハマった世代の人は結構刺さるんじゃないかと思います。
とてもオススメ。

個人的にはこの曲がすげーかっこいい。

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