2014年3月2日日曜日

Cynic/KINDLY BENT to FREE US

アメリカはフロリダの皮肉屋Cynicの3rdアルバム。
2014年にSeason of Mistから発売されました。
私が買ったのは歌詞の和訳がついた日本版でマーキーインコーポレイテッド株式会社から発売されております。(当初はボーナストラックが着いているとアナウンスされてなかったっけ?買ったらついてなかった…勘違いかな。)

Cynicは元々デスメタルバンドでしたが、結成当初からテクニカルかつプログレッシブな要素をいち早く取り入れたある意味生きる伝説のようなバンドです。私は日本独自の編集版を買ってみてとても良かったのでその流れで今回のニューアルバムを買った次第です。
どうも調べてみるといろいろとメンバーの変遷があるようだが、このアルバムに関してはギター/ボーカルのPaul MasvidalとベースのSean Malone、ドラムのSean Reinertという3人で作られたそうです。バンドの中核となっているのはPaulとReinnertの方のSeanの2人のようですね。

以前紹介したこのアルバムの前の音源にあたるEPではほぼほぼデスメタルの要素はフレーズの端々に面影が見れる位のニュアンス。曲に関してはキラキラとした要素のあるロックで、前衛的なプログレッシブさは巧みに作成された曲の背後にどっしり構えつつ、単純な曲の出来の良さを前面に押し出したような聴きやすい作りでした。マニアックなのにとてもキャッチーというバランス感覚に富んでいたような印象です。
そのEPから2年経って発売された今回のアルバムですが、基本路線自体は変更ないのですが、ディテールは結構違ってきているようです。
基本はプログレシッブなメタルですが、デスメタルの要素はほぼもう見られません。ちらっとみえるようなフレーズは皆無といっていいんじゃないでしょうか。勿論多分にテクニカルですからバンドやっている人とかはデスメタルの要素を結構見つけられるのかもしれませんが。バンドの特徴だった不気味な無機質なヴォコーダーの使用もみられません。(エフェクト自体は曲によってかけてます。)楽器の音はより乾いたカッチリしたものになっています。ヴィンテージ感すら漂うロック風味がかなり前面に押し出されており、前作にあったオルタナティブなちょっとキラキラしたようなわかりやすさに関しても鳴りを潜めています。
ドラムは乾いた音で比較的軽めの音質でたすんたすんとならす様は気持ちよい。ここぞって時に突っ走るのですがそれが気持ちよい。
ベースが結構特徴的でフレットレスベースを使用しているとのことですが、非常に主張の強いぐろんぐろんもこもことした独特の音質です。こいつが縦横に動き回る様はなかなか気持ちよい。ぱっと聴いたところすぐにプログレっぽいなと思わせる感じ。
ギターはこちらも乾いた音質ですが、結構音の幅が広くてクリーンで伸びやかな音が主体ですが、アコースティックな音質だったりメタルっぽいキンキンとした音質だったりとかなり多様な音像を見せております。結構細かいフレーズをすらすら流れるようなイメージ。
ボーカルはほぼクリーンなスタイルで曲によってはエフェクトをかけていますが、メタルの持つ不気味さを演出しているようには聴こえません。ちょっとささやくように歌うところと伸びやかに歌うところのコントラストが良い感じ。
はっきりいって全体的にはちょっと地味といっても良いくらいかっちりまとまりが良いのですが、個人的にはこのバンドの魅力聴きやすいメロディーが曲の随所に見られていて、始めはおどろいたもののよくよく聴いてみると気持ちいいです。
私がプログレッシブというジャンルに詳しくない所為かもしれないのですが、曲の中また曲毎にかなり違った趣があるのですが、アルバム全体を通して聴くと不思議と一体感のあるような印象があってそれが面白い。

ファンの人はもう買っていると思いますが、普段プログレッシブを聴かない人たちも結構すっと聴けてしまうんじゃないでしょうか。

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