2014年4月14日月曜日

Vampillia/the divine move

日本は大阪のブルータルオーケストラの音源。
今まで結構な音源をリリースしてきた彼らだが、実は今までフルアルバムをリリースしたことはない。以前作っていたらしいが、とある事情でお蔵入りになったそうだ。そんな紆余曲折があった彼らだが、日本のWorld's End Girlfriendの前田さんが主催するVirgin Babylon Recordsと契約し、待望の1stアルバムをリリースすることになったそうな。
そのフルアルバムに先駆けて上記Virgin Babylon Recordsから2014年にリリースしたのがこの音源。

全9曲でどの曲もゲストを迎えて共作したもの。
ゲストの面々は伝説的な女性歌手戸川純、色々と世間を騒がせているらしいアイドルグループBiS、過去何度か共演しているツジコノリコ、あぶらだこの長谷川裕倫、激テクニカルブラックメタルバンドKralliceのMcik Barrと中々豪華。チョイスのセンスがなんというか彼ららしいといえば彼ららしいのだろうか。
戸川純とBiSに関してはbombsというプロジェクト発になっていて、これが何かというとVampilliaのギタリストの真部脩一(元相対性理論)が歌メロと歌詞を担当しJ-POP産業に挑戦するというものらしい。
元々このバンドは強烈なマニアックさとそれと同じ位強烈なポップなメロディを同居させていたバンドだと思うので、あらためてプロジェクトとすることで指向性を明確にしたという感じでそこまでは違和感はないのではないかと。
Mick Barrをのぞけばゲストの面々は全部ボーカルを担当しているので上記bombs以外も結構このバンドのもつポップな面を強調している様な曲が並んでいる。
女性ボーカルが目立つが、元々オリジナルメンバーのVelladonはオペラボーカルなので、普通に歌うスタイルの女性声が入ると結構それだけで楽曲の幅が広がるものだと思う。
演奏は相変わらず人数の多さを武器に嵐の様な轟音でぶっ飛ばすようなスタイルは変わらずだが、いつも以上に間を意識してゲストのバーカルにしっかり歌わせている印象。なるほどJ-POP産業に挑む様なポップなメロディラインだが、演奏が後ろに引っ込まないどころかグイグイ弾きまくるところは大変良い。これで真面目に「J-POP産業に挑む!」というところがすごい。別に皮肉でいっているのではない。自分達の流儀で勝負を挑むそのスタイル、格好いいじゃないかと思うのである。接近しつつも迎合しない感じがすばらしい。
繰り返しになるが元々メロディアスな部分を明確に持っていたバンドなので、今回のやり方もとてもしっくり来る。

戸川純コラボの曲は、うわなんか歌い方が不安定で恐い!と思った。実は最後二収録されている別バージョンの方が好きです。
BiSは彼女達の曲はちゃんと聴いたことがないのだけど(Madのタケシさんが曲を提供してたりするのは知っている。)「mirror mirror」はすごく良かった。アイドルは声が若過ぎて聴いているとなんか照れくさくなってしまって苦手なのだけど、この曲では変にアイドルアイドルしていないけど声は若い。わかりにくいのだけど、高校生の合唱を聴く様なピュアかつナチュラルな感じがしてさわやかで良い。一点「いやーーー」っという悲鳴も良い。突き放したようにつぶやいて終わるラストもすばらしく、とても気に入りました。
あぶらだこ好きとしてはヒロトモさんコラボの曲は期待値が一番高く、実際すばらしいと思うが、個人的には後半が少し明るすぎるかな〜。前半のボソボソつぶやく感じを後半でもうちょっと絡めてほしかった。
Mick Barrコラボの曲は一番Vampilliaっぽい。元々ブラックメタルの要素があるバンドなので、その魅力が倍加されたように強調されてストレートに格好よい。
去年夏にリリースされたツジコノリコボーカルの「endless summer」は激しい演奏と胸を打つ切ないメロディを融合させた名曲でやはり今聴いてもすばらしい。ちなみに真部脩一ボーカルの「真っ逆さまー」の方も収録されているので安心してほしい。しかし個人的にはもう1曲のツジコノリコボーカルの「diziness of the sun」を強力に推したい。ゆったりと始まった曲が歌詞をミニマルに反復しながら螺旋状に旋回するように徐々に盛り上がり、大団円を迎える様なラストのカタルシスが半端無い。桜が舞い散る様な恐ろしく感動的な情景が目に浮かぶ超名曲。

という訳でどのコラボレーションもすばらしかったっすね。
彼らのオリジナリティがきちんとありつつ、バリエーション豊かなので、初めてVampilliaを聴く人にも超オススメ。
俄然1stアルバムに期待が高まる!

ちなみにまだ買ってない人は是非レーベル直販で買っていただきたい。
というのも特典の音源「freezekjemplama」という曲がダウンロードできるのだが、これが17分弱のノイズまみれのフューネラルドゥームを思わせる様な地獄曲で、本体収録曲とまさに対極にありつつもなるほどコレも確かにVampilliaの一面であるな、と納得させられる様なクソ名曲なので、聴かない人は確実にもったいなすぎる。


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