2014年8月10日日曜日

Sargeist/Feeding the Crawling Shadows

フィンランドはラッペーンランタというところで結成され、今はタンペレ(どちらもフィンランドの南の方みたい)という都市で活動しているブラックメタルバンドの4thアルバム。
2014年にWorld Terror Committeeからリリースされた。
このバンドのことは全く知らなかったのだが、とあるブログで今作が紹介されていて視聴してみたらとてもかっこ良かったので買った次第。ちなみにレーベル直販で買いました。ドイツのレーベルだと思うのだけど、結構速く届いてビックリした。1週間くらい?

Sargeistは1999年に結成されたバンドで、ドイツ語の棺と幽霊という単語をくっつけた造語でRottening Christというバンドの「The Old Coffin Spirit」という曲からとってきたらしい。(Wikiより。)他のブラックメタルバンド(BehexenやHorna)でも活動しているメンバーが集まっているバンドらしい。写真を見るとどう見てもガチな人たちだ。恐い。

音の方はというと完全にブラックメタルである。クレジットを見ると4人編成で出す音はバンドサウンド。大仰なキーボードやシンフォニックなアレンジは皆無のプリミティブスタイル。音質はざらついたクリアとは言いがたいものだが、判別不能なほど汚くはないし、むしろこの音楽スタイルによくあって迫力を増していると思う。このジャンルが好きな人なら問題無しだろう。
ドラムは若干バタバタしたスタイルでブラストとズタタタっと回るような連打が格好いい。ベースが結構面白くて這う様な低音なのだがどの曲でも結構伸びやかかつ、変幻自在に演奏スタイルで一見目立つギターリフの裏でうねるように弾いていて意識して聴いていると結構気持ちよい。何と言ってもギターリフが素晴らしくコールドで荒々しいのだが非常にメロディアス。饒舌と言っても良い位のトレモロリフ。ボーカルのスタイルと相性が抜群でありつつも、取って代わって歌っているといっても過言じゃないくらい。所謂トレモロリフは勿論格好よいのだが、たまーに出てくる低音で攻める攻撃的なリフもすごく良い。ボーカルはバンド名通り幽霊めいたしぼるように吐き出す掠れまくったブラックメタルスタイルと声量があって吐き出す様な迫力のある低音スタイルの使い分けで迫力満点。
メロディアスというとどうしたって声で出すラインがそうだと思いがちなのだけど、ブラックメタルって本当面白いなあって思うのは、声以外でメロディを演出するところ。このバンドなんてボーカルはぶっきらぼうと言っていいほど暴力的な癖に演奏がとても饒舌でこのバランス感覚が非常に気持ちよい。このギターの音の格好よさは何だろう。例えば7曲目のラストは終盤終わる直前に他の楽器の演奏が止まってギターの音だけになるのだけど、何とも言えないざらついた音で妙に哀愁のあるフレーズを奏でるもんで聴いているこちらとしては何とも言えない気持ちになる訳だ。それをぶちっと切るように曲を終わらせるのも潔く、決して大仰にすぎないバンドのスタイルが垣間見えるようで良い。このバンドより速くて暴力的な音を演奏するバンドは沢山あるだろうけど、この何とも言えない物悲しいメロディをならすバンドはちょっといないんじゃないだろうか。とにかくそこが魅力だ。憂鬱さだ、重要なのは。

という訳で非常に格好よいブラックメタルバンド。プリミティブなブラックメタルだ。ブラックメタルというのはこういうものですよ、と誰かに教えたいときはこのCDを渡しても良いかもしれない。オススメです。

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