2014年9月13日土曜日

Gehenna/The War of the Sons of Light and the Suns of Darkness

アメリカはカリフォルニア州サンディエゴのネガティブハードコアバンドのコンピレーションアルバム。
元は1998年にCrimethincというレーベルからリリースされた。私がもっているのは2008年にA389 RecordingsからリリースされたLP再発版。レーベル直販だと送料が高いからAmazonで買ったんだけど赤盤だった。そのかわりダウンロードクーポンがなかったから、さらにBandcampでデジタル音源買った。デジタルにはボーナストラックが2曲追加されている。昔はLPかったらPCで録音して聞いていたんだけど、最近は面倒だから良いなと思ったら買い直しちゃうこともしばしば。じゃあ始めっからデジタルでいいじゃん、といわれると反論のしようがないんだけど。
とまあ話がずれてきてしまいましたが、以前紹介した彼らの1st「Negotium Perambulans in Tenebris」がとても格好よかったので別の音源も、というわけで購入した次第。
時系列で言えば前回のアルバムより前にリリースされたもので、それまでにリリースしたデモ音源やスプリット音源、レア音源などを集めたコンピレーション。英語のタイトルで、えーと「光の息子達と闇の太陽達の戦争」という感じだろうか。妙に宗教がかったジャケットが格好いい。カラフルでよく見ると悪魔もなんだかかわいい。中と裏も宗教画でやっぱりちょっとブラックメタル然としたところがある。捻くれたハードコア臭がぷんぷんするぜ。

さて音の方はというとフルアルバム前の音源といっても結構音楽スタイルは確立されていて、荒々しいのは勿論だがかなり整然として予想よりかなり聴きやすい。
メタリックな刻みまくるリフトハードコア由来の引き倒すリフが混在したハードコアで、勢いを重視したストイックな演奏が売り。
ギターはメタリックな重さをもっているのだが、今作では1stよりもっとハードコアスタイルな印象で、不安をかき立てる高音リフが突発的に飛び出して来たりして面白い。
ベースは相変わらず低く、重い。ドラムは比較的軽いのでここってところで曲がぎゅっと引き締まる印象。もこもこした音でスラッジパートでは映えること。
またドラムはよく聴いてみるとかなり叩きまくりの直情スタイルでスタスタ刻みまくって格好いいことこの上無し。
なんといってもボーカルの禍々しさよ。ブラックメタルのイーヴィル感を彷彿とさせるスタイルなのだが、様式日のメタルの世界とは一線を画すハードコア由来の汚さよ。邪悪であるが、たとえば絵画の世界の邪悪ではない。そこにあるかもしれない邪悪である。より卑近な悪意に満ちているとでも言うべきか。悪漢が出す錆び付いたなまくらナイフの様な現実的で生々しい直接的な恐ろしさである。粗いメタリックハードコアを一気に魔物めいた音楽にかえていると思う。
5分超のスラッジな曲も入っていてこれがバンドの雰囲気とすごい合う。後ろでグログロ唸っているフィードバックノイズと、不穏な静けさがたまらん。
またたまに顔を出すパーカッシブとも言う様なバンド全体で刻んでくる様なパートが良い。取っ付きにくいかと思いきや意外にユーザーフレンドリーじゃないか?
前回の記事でなんでハードコアスタイルでやっているのだろう?と思ったと書いたんだけど、歌詞を読んでみるとなるほど完全なハードコアアティチュードでこのスタイルは必然なのかもしれない。人口の83%はクソだと言い切る1曲目から始まり、無知と傲慢さに対するヘイトを直接的な言葉でまき散らすのはやはりハードコアだ。

という訳でかなり人を選ぶ音楽性かもしれないが、好き者の皆さんは是非聴いてみていただきたい。マニアックな貴方には意外にも刺さるかもしれませんよ。

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