2014年11月16日日曜日

Sargeist/ The Rebirth of a Cursed Exsitence

フィンランドはラッペーンランタのブラックメタルバンドのコンピレーションアルバム。
2013年にWorld Terror Comiteeよりリリースされた。前に紹介した「Feeding the Crawling Shadows」と一緒にレーベルから買ったもの。
コンピレーションなのだが調べてみると様々なスプリットや企画盤から曲を集めて来たようで同じ音源からでも多くて2曲、それ以外は1曲取って来ている。言い方は悪いが本当に寄せ集めて来た印象だが、逆に言えば多くの音源を一枚ずつ買う手間を省いてくれる良いアルバム。(リマスターも施されているそうだ。)恐らく古い順に曲を並べているのでバンドの音楽の変遷を楽しめる。所謂プリミティブなブラックなので音質は良くはないが、それでも時代を経る毎に格段に質が良く鳴っているのを感じる。しかし音の本質は見事に2002年のものから変化する事無く軸がしっかりしており、全体を通しても一貫性があり聴きやすい。

その本質とはプリミティブな精神を受け継ぐコールドかつ閉塞感のある正統派なブラックメタルであり、その峻厳さや取っ付きにくさを嵐の様なトレモロリフの儚いメロディラインが補う様なスタイルである。
ボーカルはぎゃいぎゃいわめくイーヴィルなスタイルでぐしゃっと押しつぶした様な独特な声。時代を経るとドスの利いた低音ボーカルも加わる。(ひょっとしたら選任ボーカルのものではないかもしれないが。)
ドラムは音の数がそこまで多くない。疾走パートもツーバスでどこどこいく派手さは無いが、ぱしんととぱしんと打たれるスネアは修行僧的なストイックさがある。
ギターが映えまくるバンドで曲によってはボーカルより饒舌ブリザードの様なトレモロリフの応酬で息つく暇も無い音の密度である。ドラマティックかつメロディアスだが、ともするとあざとく聴こえる高音の頻度は少なめで、あくまでも低音から中音で黒く空間を塗りつぶす様なストイックさ。初期のざらついたプリミティブな音質から後半ややソリッドな重さのある音に変化している。所謂刻むようなメタリックさはほぼ見られず、フレーズによってはハードコアパンクのそれを感じさせるリフ。(5曲目6曲目とかスタスタ突っ走る硬質なドラミングも合わせてはかなりパンキッシュだと思う。)
中速域で構成された曲調も時代を経る毎によりダイナミックになり、速度も増して来た印象で後半の曲まであくまでも自然に聴けるのに、頭の曲と比べると結構雰囲気が違うから不思議だ。技術があがった分できる事が増えた結果だろうが、芯はぶれないのでまさにパワーアップした様なイメージ。激しさの嵐のなかに垣間見える陰鬱なメロディアスさが癖になる。

というわけでプリミティブなブラックが好きな人は買ってみて損はないのではというクオリティ。時代順に並んだ質の高いディスコグラフィーってことでこのバンドに興味がある人はまずこのCDを手にとっても良いのかもしれない。

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