2015年6月14日日曜日

Cohol/裏現

日本の3人組ブラックメタルバンドの2ndアルバム。
2015年にフランスのOsmose Productionsからリリースされた。
タイトル裏現(りげん)とは”表現”のさらに裏側という意図があるそうな。
1st「空洞」から4年半、heaven in her armsとのスプリット「刻光」から1年ちょっとぶりの新アルバム。「刻光」は(両バンドともに)良かったんで新アルバムも期待して待っていたんだけど、そんな期待の遥か上をいくアルバムに。

ぱっと聴くとブラックメタル感がぐっと前に推し出て来ているように感じる。
地鳴りの様なバスドラの連打。乾いてダスダスしたスネアはリズムキープからマシンガンの様な正確な連打まで。シンバルの音色も豊富でここまで多彩な表現が出来るのかともはや感動するのですが。
ベースはリズムキープにとどまらずかなり活発に動いている。低音が極端だから、ゴロゴロ這い回るようだ。3人体制なので遊びが無い分、ひとりひとり高いものが求められるんだなあとと思う。
ギターは迫力のある低音リフと、不穏な高音を使い分けてトレモロで攻めてくる。ボーカルが邪悪さを担当する分、こちらが饒舌になってくるわけで、荒廃した攻撃性の中にもメロディアスが隠し様も無くここら辺が気持ちよいポイント。リフの最後のきゃらきゃらした不協和音めいた音やハーモニクスなど端々に見せる個性が曲を豊かなものにしている。
個人的にはやはりバスドラが連打しているのに、中音域でためるようなリフを繰り広げる曲展開がとてもツボ。(5曲目の後半部分とかとか。)疾走パートがカタルシスだとするとじらされている訳なんだけど、しかしなんか独特の高揚感があってテンションあがる。
ボーカルは引き続きしゃがれ声のスクリーム。ブラックメタル直系のイーヴィルなもの。意外にクリアで日本語歌詞が結構聞き取れる。
全体を通してブラックメタルの形式に則りながらもこの表現の豊かさはどうしたことだろう。ポエトリーリーディングだったり、その歌詞だったりポストハードコアな影響は今回も激烈な音楽と見事に同居している。思想的には明確にプリミティブなブラックメタル(分かりやすく言えばサタニズム)と距離がある(と私は思う)唯一無二の音楽性は研ぎすまされているものの流行に全く左右されず、「空洞」から一貫している。

HMVのサイトでバンドのかなり長いインタビューが読めるので是非どうぞ。アルバム制作を中心にバンドの結成から色んな状況が飾らない言葉で読めます。とても面白い!
アルバムのブックレットには歌詞が日本語と英訳されたものが乗っている。ブラックメタルではその特徴的な外見も含めて神秘的な側面があるジャンルだが、むしろCoholは積極的に自分たちを素直に配信していく様な動きがある。
地道な活動で確実にその名を浸透させているバンドだからすでに聴いている人も多いだろうが、まだの人は是非どうぞ。カテゴリにはまらないまさにこの日本で現在進行中のブラックメタルだと思う。オススメ。

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