2015年6月28日日曜日

KEN mode/Success

カナダはマニトバ州ウィニペグのハードコアバンドの6thアルバム。
2015年にSeason of Mistからリリースされた。
名前だけは知っていたが聴いた事無かったバンドだが、悩んでいる男性をモチーフにした妙にカラフルなジャケットに惹かれて買ってみた。
KEN modeは1999年に結成されたバンドでいまは3人体制。バンド名のKENというのはKill Everyone Nowの略出そうな。今すぐみんなぶち殺せ!なモードってことらしい。まあそんな気分になる事もあるよね。

ジャンルを大まかに述べるとハードコアってことになるのだろう。一昔前ならカオティックハードコアと称されたかもしれない(まだ使っているのかな?カオティックハードコア)。Convergeのような速度に特化した様な攻撃性というよりは、スラッジからの影響をうけたどっしりとした演奏をベースに、2秒先にはどうなっているか分からないような一筋縄ではいかない歪んだ曲構造、そんなカオティックさである。
私は聴いてみてノイズロックっぽいなと思った。ボーカルの歌い方があるかもしれないが、基本じゃぎじゃぎしたギターはしかしともすると耳をつんざく様な高音のノイズやズルズルした泥濘リフを奏で始めるし、UnsaneやRusted Shutのような曲そのものというよりその背後にある”完全にどうかしている気配”を何となく感じ取ったのである。
ドラムはシンバルも多用した喧しいスタイルで、リズムキープに加えてやや変則的な叩き方がカッコいい。恐らく手数が多いのだろうと思うけど、そこも叩くのか〜というオカズがメタル的でない乾いた音だと鼻につかないので気持ちよい。
ベースはうねりまくる様な気持ち悪いもので、とくに速度の遅いスラッジパート(例えば1曲目なんかはそうだと思う)ではその気色悪さがよく目立つ。他のパートが暴れている時でもミニマルに支える屋台骨ではあるのだが、底意地の悪さがなんとなく這う様なリフに現れていて非常に良い。
ギターはじゃかじゃかした歯切れの良い音が基本形なのだが、いつの間にか高音リフを畳み掛けて来たり、喧しいソロを披露したり、ノイズを垂れ流して来たりとかなり自由に振る舞うタイプ。カッティングを多用したリフはメタル的でもハードコア的でもなくてかなりカッコいい!コード感のあるメロウなリフも良い。カオティック感を演出するに十分なバリエーションある存在だと思う。
ボーカルはちょっと鼻にかかった声はそれでも妙に通りが良く、少なからず頭のいかれたアジテーターがメガホン片手に大衆に怒りをぶちまけているさまがある。堂に入っているのにコイツ酔っているのか?と思わせる不安定感も雰囲気ばっちり。
ノイズ成分もそうだが、女性のボーカルを取り入れたり、ストリングスを部分的に導入したりと結構どん欲に世界観を追求していくタイプでその音楽性は奇々怪々である。やはりノイズロック特有の整然としている割には”どこかおかしい感”が緊張感のように漂っている。ノイズロックを通過したハードコア。疾走感もありながらも、スラッジパートも大胆に取り込んだ音楽性。文句無しにカッコいいそれらのアイテムをまとめあげて、なんとなく不穏な音楽に仕上げるこのセンスが売りのバンドかも。喧しい、けどなんとなくあまのじゃくのところがあって、そこが曲のところどころに垣間見えて面白い。

軽い気持ちで買ってみたがこれはカッコいい。
4曲目の様なストレートな曲もめちゃ良いが、やはり6曲目7曲目のような一筋縄でいかないハードコア感もたまらない。オススメ。

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