2016年1月23日土曜日

BATUSHKA/Litourgiya

ポーランドのブラックメタルバンドの1stアルバム。
2015年にWitching Hour Productionsからリリースされた。
メンバーのプロフィールも人数も定かではない正体不明バンド。Metallumの写真を見るとどうも3人組のようだ。フードを被っているし、ジャケットはイコンだろうから、ただの音楽的なくくり以上にブラックメタルとしての矜持がありそうだ。海外のレビューを見るとスーパーグループなんか書かれてたりするし、名のある人たちがやっているのかもしれない。

音的にはトレモロリフを多用したブラックメタルなのだが、完全にプリミティブというには音が重厚すぎるし、プロダクションも良好。過去に敬意を払いつつ持てる武器を最大限有効活用している印象。ガツガツした攻撃的なバスドラムの音がドコドコなる様は殺傷力抜群。のどから絞り出す様なイーヴィルなボーカルも雰囲気ばっちり。トレモロリフは高音中音域のいかにもブラックメタル然としたものから、低音によったデスメタルチックなものまでその音色は結構多彩。
ここまでだととにかく攻撃的でデスメタルの要素を取り込んだ今風の音圧の太いブラックという感じで、実際そうでもあるのだが、このバンドはブラックメタルの持つ陰鬱なメランコリックさの要素をさらにぶち込む事で、派手でありながらも圧倒的なブラック目たる世界を構築する事に成功している。一つはトレモロリフが導くメロディラインの豊かさ。わめくボーカルに変わって饒舌に語りかけてくる。背景の荒々しさと前に出過ぎない事で曲全体が軟弱になることを防いでいるバランス感覚の良さ。もう一つは朗々とした低音で伸びやかに歌う宗教めいたボーカル。これが高音わめきボーカルと良い対比になっているし、曲に宗教的な荘厳さと怪しさを付加させている。聞き慣れない言語(ポーランド語かね?)ということもあって異国情緒にあふれていて非常に良い。哲学の迷路に迷い込んだ様な難解さは無くてもっと肉体的である。中速に特化したしたこともあって、やはりその影のある感じが最大の売りだろうか。曲の尺をやたら長くしたりせずに、あくまでもオーソドックスなバンドサウンドを主体に曲作りをする事で変にアートぶらない質実剛健な方向に舵を取っているところも好印象。

ブラックメタルのもつ特定の指向性を押さえつつ、音質だったりダブルボーカルだったりで倍加させている印象。正体不明のバンドというと軽薄な印象もあったりだけど、実際聴いてみるとかなり真面目な印象を受けた。メロディセンスもあって勿論くらい音楽性なのだけど、意外に外に開けていると思う。これはカッコいいな。ブラックメタル好きな人は是非どうぞ。

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