2016年2月14日日曜日

Bird Eater/Dead Mothers Makes the Sun Set

アメリカはユタ州ソルトレイクシティのデスメタルバンドの1stアルバム。
2014年にBlack Market Activitiesからリリースされた。私はデジタル版を購入。
バンド名のBird Eaterは鳥すら食べる(らしい)巨大な蜘蛛の意味、虫嫌いの私からするとググるのすら恐怖である。2005年に結成されたバンドでMetallumをみると解散済みになっている。Gazaの元ボーカリストJon Parkinが在籍する。Gazaはその解散が2013年だからJonは平行してこちらのバンドにも籍を置いていたという事になるのだと思う。(問題を起こしてこのバンドを始めた、というのではなさそうだ。)この音源に関してもwikiをみると録音されてからリリースされるまで3年の隔たりがあったようで、やはり解散しているのか何かしらの問題があったのかもしれない。

改めて聴くとJon Parkinのボーカルというのはやはり凄まじい。ハードコアを通過しているこの声はやはりちょっと類型が見当たらない。手負いの獣というった危うさがあってざらついたその声は物理的な衝撃すら伴うようである。既に決別しているからこう比較するのもアレかもしれないがCult LeaderのボーカルAnthony Luceroと比較するとJonの方が太い。野太いと行っても良いが獣性ではこちらに軍配が上がるかもしれぬ。(ただし「Lightless Walk」のAnthonyのスラッジ方面に大きく幅を広げたその表現力ははっきりいってもはやJonに劣るものではないと断言できる。)
否が応でもGazaと比べてしまうし、実際アグレッションに満ち満ちたそのサウンドは確かに共通しているところもあるのだが、よくよく聴いていると相違点も分かってくる。まずはこちらの方がデスメタリックである。メタルコア的と行っても良いかもしれない。ざくざく刻むリフはハードコアというよりはメタルのそれで、攻撃的でありながら冷徹である。演奏陣と一緒になだれ込むGazaと比べるとBird Eaterは両者に温度差がある分分離が良くてそれぞれが実際には映えている。どちらが、というのは完全に好みだろう。
もちろんスラッジ成分も入っていて特に曲の後半放心した様な崩壊具合を見せる様はGazaを彷彿とさせる。ただ面白いのはこちらはややフレンドリーな印象であくまでも曲の範疇にその要素をとどめている。かなりメロウなギターソロも多分に饒舌で違和感無く曲に取り込んでいる。また陰鬱なアコースティックギターで腐敗したカントリー臭を漂わせているのもの大きな特徴。1曲目はイントロ、11曲目はアウトロ的な意味を持った曲だがそれぞれ5分と8分もあり、特に前者はメタルアルバムのイントロにしては異例の長さではあるまいか。他の楽曲の徹頭徹尾容赦のなさとよい対比になっていて激しさだけでなく、もっと複雑な感情を表現してやろうというバンドの意気込みが感じられる。

Gaza好きな人は買って損はないだろう。似ているところと違うところがあってそういった意味でも楽しめる。フィジカルは限定500枚らしいがitunesなら問題なく購入可能。非常に楽しめたのでもっと音源が聴きたいところ。

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