2017年1月15日日曜日

Ansome/Atowaway

イギリスは南ロンドンのテクノプロデューサーによる1stアルバム。
2016年にPerc Traxからリリースされた。
AnsomeはKieran Whitefieldによる一人ユニット。このフルアルバムをリリースする前に発表した音源ですでにクラブシーン、それからネットで注目されていたようだ。

ノイジーでダブ要素のあるテクノといったら珍しくないどころか割と世に溢れているジャンルなのかもしれない。しかしこのノイジーでダブ要素のあるテクノを徹底的に無愛想にやった結果特徴的になっているのがこのAnsomeという人。
ぶっといリズムが主役であとは脇役と言わんばかりの曲作りで、ガムガムタイトかつミニマルにビートを刻みまくる強烈なマシンビートが異常な存在感を放っている。徹底的なミニマリズム(もはや絶対、テコでもペースは変えないという我慢比べのような)はインダストリアル詰まる所無慈悲に一片の狂いもなく動き続ける巨大な工場を連想させる。機械に巻き込まれれば待っているのは四肢の欠損、もしくは死だ。そんな無情さがこもっているビートはクラブミュージックでは無骨すぎやしないかと聞き手が危ぶんでしまう。間に挟まれるこれまた金属質なシンバル、ハイハットの刻みもマシン感助長しているにすぎない。極限的に言えば心臓の鼓動なのだが、非人間的にすることで安心感というよりは落ち着きのなさを聞き手に与える底意地の悪さ。
上に乗っかるのも旋盤のような何か機械の歯が猛スピードで回転しているようなものや、何かの手違いで工具が床に落ちたようなガチャガチャ音、巨大な吹き抜けの向上に虚ろに反響するサイレンなどなど、まさに逃げ場はない。
不思議なもので毎秒同じ動きを繰り返していく機械を見ていると次第に催眠にかけられたようにトロンとしてくる。雪山ばりに眠ると死ぬぞ的な修羅場が展開されているのだが、許田きな機械に巻き込まれるという幻想がそこまで悪いものでは思えなくなってくるから不思議だ。脅すような描き方をしてしまったが、実際には結構高揚感を煽ってくる音楽であって(つまりクラブでなってかっこいい音楽である)ここがAnsomeの狙いなのだろうと思う。不快さを催す機械音のみで踊れる音楽の限界にチャレンジした、のようなストイックさも感じれらる、かもしれない。

まさに社会/会社の歯車として日々回転している諸賢に関しては是非またこの音楽を聴くことで自分の境遇を再認識して見てはいかがだろうか。原始的な工場で歯車になる夢をどうぞ。それは快感だ。(少なくとも快感と思う人もいる。)

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