2017年3月5日日曜日

Chain of Strength/The One Thing That Still Holds True

アメリカはカリフォルニア州南部のハードコアバンドの編集盤。
1995年にRevelation Recordsからリリースされた。
1989年「True Till Death」、1990年「What Holds Us Apart」という二つのEPをまとめたもの。バンドは1988年に結成され1991年に解散している。いわゆるユースクルーというジャンルに当てはめられるバンドで、最近ユースクルーという単語が会話に出たので気になってたところたまたま目にしたので買ってみた。ユースクルーというのは酒を飲まない、タバコは吸わない、麻薬もやらない、愛のないセックスはしないという厳格なストレート・エッジ思想から生まれたハードコアのジャンルのことらしい。私はユースクルーだなんて知らない状態でGorilla Biscuitsの「Start Today」をだいぶ前に買ったくらい。
調べてみるとだいぶ面白いバンドだったみたいで、厳密にいうとユースクルーでないのでは…と思ったりもするんだけど。(ストレート・エッジは思想なので。)

音的にはオールドスクール・ハードコア。乾いたドラムがシンプルながら高揚感のあるリズムを刻んでいき、疾走感のあるギターが時にスラッシーなリフを乗っけていく、硬質なベースは結構面白いことをやっていると思う。ボーカルはやや掠れてしゃがれ味がある。いかにもな感じでかっこいい。そしてとにかく男らしいコーラスを多用してくる。
前述のGorilla Biscuitsはメロコアっぽいなと思ったんだけど(もちろん順序は逆)、こちらは同じユースクルーでもだいぶ趣が違う。もっとハードコア。といっても音の重さ的にはそんなに大差がないので、こちらの方が基本速度は速い。リフももっとそっけなくそのぶん力強いハードさに溢れている。面白いのは1周したくらいだと勢いのあるハードコアだなと思うだけなんだけど、よく聞いていると速度の調整は実は結構細かくされていて勢いを殺さずにそれをむしろ生かしている器用な曲作りを丹念にしている感じ。音の密度の低いイントロから徐々に力を入れてくるようなやり方、サビというかコーラス前に一瞬だけ間を入れてくる、だいたい2分くらいの曲でも中間に贅沢にサイレントなパートを入れてくるなどなど。結構ドラムのリズムというか叩き方を追っていくように聞くと面白い。ギターとベースも音の密度が結構短いスパンで変わっている。
ひたすらハードコアに攻め立てるコーラスが映える「True Till Death」はもちろん、中盤の妙にレトロにメロディアスなパートが面白い9曲目「Never Understand」もよい。

ハードコアってストレートだよね、とか自分で言っていたけどよくよく聞くとそうでもない。勢いがある、シンプルと言ってもストレートと纏めてしまうのは良くないなと思った。同様に好きなものに意味みたいなのを考えすぎるのもどうかなという話かもしれない。思想云々はあるだろうがかっこいいオールドスクール・ハードコア。

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