2017年5月28日日曜日

Protester/Hide From Reality

アメリカ合衆国の首都ワシントンD.C.のストレートエッジ・ハードコアバンドの2nd(多分)アルバム。
2017年にTrash King Productionsからリリースされた。
Protesterは2013年にPure Disgust、Red Deathなどのメンバーにより結成された5人組のバンド。活動期間は長いわけではないけどすでに編集版をリリースするなど結構アクティブに活動しているようだ。なんとなく話題に上りがちなバンドっぽくて流行に乗る軽薄なスタイルで購入。

どうもこのバンド、80年代〜90年代のリバイバルな音を鳴らしているらしい。ハードコアに限らず温故知新なバンドはたくさんいるわけで、そんな中でも特に「リバイバル」と称されるからには相当なリバイバル感が必要になってくる。私は昨今ハードコア名盤をポツポツ中古で買ってお勉強をしたりしているので、なんとなく少なくとも表層の音のことはちょっとだけわかるくらいなんだけど、なるほど今風の音とは一線を画すわけで、似てるバンドを挙げるとしたら現行のハードコアバンドというよりも、Agnostic FrontだったりPoison Ideaだったりを例に出した方が音的には近くて説明しやすい。ストレートエッジなのでユース・クルーっぽいかな?と思ったらもっとロウで荒々しい音像。
メタリックに武装したり、プラスオンする凶暴さや多様性をノイズやジャズに求めたりする今風のバンドとは明らかに一線を画す。極端に攻撃的なパワーバイオレンスとも異なる。全体的に抜けの良い明快な音で生々しく、荒々しい。1曲に含まれる、というよりは曲を構成するパターンは非常にシンプルで、テーマを2回3回繰り返して間奏を挟んでまた戻ってくる、このサイクルを勢いで持って突っ走る。派手なテンポチェンジも暴れるモッシュパートもなし。(乗れない音楽ではもちろんないわけで、こうなると暴れるパートはわかりやすく暴れさせているパートと捉えることもできる。どっちが悪いわけではないけど。)ハードコアパンクの初期衝動を改めてそのまま形にして録音したようなイメージだ。ややしゃがれて吐き捨てるボーカルはいかにもハードコアだが、そこはかなとないメロディセンスがあって「Never For Me」なんかはメロディアスと言っても良いかも。ラスト加速するところがめちゃかっこいい。このくらいのバランスがとても好きかも。
今風の音から引き算して作ったんではなくて、これで全部の数が揃った状態なのだ。スタート地点というか視点が今の流行のバンドとは異なる。もちろんそれなら昔のバンドを聞けばいいじゃないってことになるわけだけど、個人的には完全なリバイバル(そんなもん昔のバンドが今の時点で昔の曲を演奏する他ないと思うけど)であったとしても現行のバンドがそれをやることは価値があることだと思う。(自分も含めてなんだかんだたくさんの人は現行のバンドの方をメインに聞くと思うので。)それは流行に対する疑問符だったり、自分たちが好きなもの対する敬愛の念かもしれない。

どうもリバイバルが流行しているような話もあるので突然変異的なバンドではないのかもしれないが、ハードコアの初期衝動が好きな人は是非どうぞ。無骨でシンプルなのがハードコアでしょ、という人なら気にいるはず。

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