2017年5月14日日曜日

Yokohama Extreme6 Nekrofilth Japan Tour@横浜El Puente

最近は来日をきっかけに海外のアーティストを聴き始めることが多い。そんな流れでアメリカ合衆国コロラド州デンヴァーのNekrofilthを聴いて見たらこれが非常にかっこいい。デスメタルバンドのNunslaughterのメンバーがやっている別バンドで、デスメタルの要素色濃いのだが、それがハードコアパンクとくっついたクロスオーバーな音楽をやっている。5月12日からツアーがスタートするということなんだけど、ラッキーなことに仕事に都合がついたので横浜まで足を運ぶことに。ライブハウスは西横浜にあるEl Puente。メタル、ハードコアに限らずアンダーグラウンドな音楽御用達のライブハウスなんだけど行ったことがなかったから、これも非常に楽しみだった。
El Puenteは西横浜駅をおりて割とすぐ。お店のそばに行くともういや〜な感じの音が漏れている。(暗いからよくわからなかったけど周りにあまり建物がない。)今まで行ったライブハウス(一応ミュージックバーということらしい)で一番小さいと思う。入場するとすぐ横でバンドがでかい音で演奏しているし(これは本当楽しい)、バンドの正面ちょい横あたりは2列くらいかな、入るのは。距離の近さという意味ではこれ以上はないんじゃないかくらい。
私がつくとすでに1バンド目Filthy Hateのライブは終わっており、続くAnatomiaがプレイしていた。

Anatomia
2002年から活動している日本は東京のデスメタルバンド。ギター、ベース、ドラムの3人組でドラムの人がメインボーカルを取る。びっくりしたのがエフェクターがマルチエフェクターだった。それでもきちんとなっている音はどう聴いてもデスメタル!なんとなくイメージを覆されて痛快だった。デスメタルというのは重たい⇄軽い(重いバンドが多いけど)、遅い⇄速い、などなどその構成要素を取ってもいろいろあるし、構成要素でも表現方法は多様なのだが、個人的にはデスメタルには”邪悪”の要素があってほしい。逆にここを抑えていれば私としては非常に入りやすい。Anatomiaはまさに”邪悪”を音楽にして発信するバンド。とてもスリーピースとは思えない音の壁で、速いパートもあるが基本はドゥーミィな遅いパートが主体。圧殺、窒息系の重苦しい音。例えば同じオールドスクール・デスメタルでもCoffinsはズンズン響くリズムを強調したりと容赦のなさの中にも華(と行っても真っ黒い)があるのに対して、Anatomiaは華がないというよりはそういうとっつきやすさがない。ひたすら地下室。うめきあげるようなボーカルはひたすら低く憎悪に満ちている。リフは黒く鈍く光るデスメタルの結晶のようだ。重苦しいのがたまらないやつ。それでも曲によっては空間系のエフェクトをかけたり、遅すぎて崩壊したアルペジオやその裏でのベースのコードっぽい弾き方など、曲をデスメタルたらしめるための技巧もいろいろと感じた。荒廃した墓場と言った様相のライブ。かっこよかった。
ちなみにギタリストの方は長髪なのだけど激しいプレイでネックに髪の毛が絡まっていた。終演後ベーシストの方が「今までで一番絡まっている」と心配していたくらい。ちゃんとほどけたのかきになる。

Nekrofilth
続いてはNekrofilth。このバンドもギター、ベース、ドラムの3人組。全員上背があり、リズム隊はがっちり巨漢という感じで迫力がある。ギター/ボーカルの人のギターなんだが金属質なピックガードが茶色っぽい赤黒にまだらに染まっている。昔あのギターで誰かを殺してゴミのように埋めてきた、のようなバンド名にちなんだデスメタルストーリーがあるのかもしれない。ギタリストの人はアンプヘッドのつまみを適当にザーッと全部マックスにしていたみたい。大丈夫なの?と思ったけど大丈夫でした!始まってみるとめちゃかっこいい。ギターの音は低音を強調するデスメタルのそれというよりももっと生々しいディストーションがかかった音。エフェクターも少なめ。声質もしゃがれて結構高音が効いている。それで故Lemmyのように高く上げたマイクにしたからかじりつくようにがなりあげる。単語単語(FuckとかFuckingとかよろしくないのばかり)によってたまに聞き取れるくらい。つまりデス声とかそういった歌唱法とは違うわけで、楽器の音と同じでここも生々しい。曲は長くて2分くらいであっという間に駆け抜ける。何かに追われているように性急なギターソロが入ることもある。速いんだけどグラインドコアと違ってもっと軽くてつんのめるようなリズム、そして良い感じに密度が空いているので風通しが良い。リフがかっこよくてメタルのように詰め込むテクニカルのようなものではなく、キャッチーで反復的。ここら辺がハードコア、パンクと称される所以。パンクも然りなのだけどどっちかというとMotorheadのロックンロール〜Rawなグラインドコアよりのハードコアという印象。とにかく痛快。男の子のかっこよさ。もちろんスッキリ通り過ぎるという感じではなく、デスメタルのフレーバーが効いているのでその歌は下品かつ血みどろな雰囲気がする。むせるような暑い風に当てられているみたい。Filthと名乗っているわけだけどデスメタルの汚さがハードコアパンクのRawさにうまくハマって、両者ががっちり握手している。あっという間に終わってしまった。聴いている間ずっと笑顔だったかもしれない、私。

Nekrofilthの物販を除くとそこにはデスメタルの香りがするアイテムがいっぱい。やっぱり出自というかアティチュードはデスメタルなんだな〜と思わせる。かっこよかったので裁縫できないのにバックパッチを買って帰る。
外に出るNekrofilthのドラマーの方が涼んでいらっしゃって、「アリガト〜」と声をかけてくださった。私も「ベリークール、こちらこそサンキュー」とか馬鹿みたいな英語で返答。こういうの非常に嬉しい。アンダーグラウンド音楽のライブの醍醐味の一つだと思います。横浜はさすがに遠くて仕事帰りに行くのは大変だけど行ってよかった。とても楽しかった。半端にしかライブが見れなくて残念。本気で来たいバンドの方々と本気で日本の人たちに聞かせたい主催の方々たちがいてこういう機会があることは非常にありがたいことです。ありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿