2017年7月17日月曜日

LOSTTRIP@新宿ロフト

日本のハードコアバンドVVORLDのドラマーチンウィルさんの企画。
真夏の新宿ロフトで全17バンドが出演するハードコアパンクのお祭り。
見たいバンドがいくつかあったのとの興味のあるけどほとんど聞いたことがないジャパニーズ・ハードコアを1日でいくつも聴けるのは良いな!と思っていってきた。
このあいだのVVORLDのリリースパーティ@新代田Feverと同じようにステージとバースペースで二つの舞台を作って交互にバンドが演奏してくスタイル。このやり方だと転換の間の待ち時間がなくなるわけです。最終的にはちょっと両方のステージが被りだしたけどほぼ押さなくて時間通りだったと思う。
新宿ロフトは広いし、トイレにも余裕があるので良いなと思いましたよ。

本当は12時開場の13時開演なのだが、私は余裕の重役出勤をかましついたらちょうどWrenchが終わるところ。Wrenchはいろんなイベントに呼ばれている気がする。当時はミクスチャーバンドという文脈だったと思うけど、いろんな音楽のイベントにハマるというのはミクスチャーなんだな〜と。

Fuck You Heroes@バースペース
とりあえずじゃあというわけでバースペースの方に移動すると超満員でかなり後ろの方から見る。メンバーが何人かもわからない。若さが何かは知らないが、サウンドを聞く限りは若い!という感じの音で、基本早めのビートにコーラスワークの爽やかなパンクという印象。場面によっては非常にメロディアスだった。

Black Ganion@ステージ
続いては愛知県名古屋のハードコア/グラインドコアバンドBlack Ganion!お目当の一つ。ハードコアというにはひねりすぎている凝った悪夢的なアートワーク(2ndその名も「Second」は非常に凝った装丁の特殊ジャケット仕様。)が象徴するように誰にも似ていいない音を鳴らすバンドなので一度ライブを見たかった。メンバーの立ち居振る舞いは完全にハードコアで、特にギタリストの方の顔というか表情が尋常じゃなくて恐ろしい。ジャニーズのライブに行く女の子じゃないんだけどライブ中に目があったような気がしたんだけど怖すぎました。
まず思ったのがスネアの音が徹底的にカラカラに乾いていてグラインドコア、ゴアグラインドっぽい。そしてブラストしまくり。指弾きベースはあくまでも不穏なのに対してギターのとは金属質であえて重量をある程度削ぎ落としたカミソリサウンド。そこに不明瞭に呻くボーカルが乗っかるという地獄仕様。ただ激しい一辺倒ではなく例えばアルペジオも入れてくるような起伏を曲に持ち込んでいるが、美麗なポスト感皆無でひたすら不気味。ソリッドなギターもともするとエフェクターのつまみをいじって異常なノイズを発生させていた。耳が慣れてくると楽器の音がそれぞれバランスよく聞こえてまさに音を浴びている状態。気持ちよかった。

ELMO@バースペース
お次はおそらく東京?のハードコアバンドELMOで前回のVVORLDのリリースパーティの時には異常に尖りまくっていたのでまた見たかった。こちらのバンドもお目当の一つ。
前回同様VVORLDのギタリストの方がギターのヘルプ。高音のノイズを異常に放出しまくる一目で危ないサウンドでワクワクが止まらない。前回見たときは異常に怒りまくっている感じだったが、今回は他のアーティストに対するリスペクトを言葉にしていた。とはいえ音の方はというと非常に凶悪な耳を痛める系でエフェクト過剰でほぼノイズになったリフの中を高音ボーカルが絶叫。高速パートもさることながら、ノイズがひゅんひゅん飛びまくる低速パートが個人的にはたまらん。怒りの感情をストレートでない歪んだ形で表現しているところがかっこいい。ただあくまでも感情的でちょっとメランコリック。もっと長いこと見たいものだと思ってしまう。
「Still Remains...」しか持ってなかったので「Change But True」とT-シャツ付きのThirty Joyとのスプリットもゲット!音に反してメンバーの人は丁寧な方でした。

Warhead@ステージ
古都京都の1990年結成のハードコアバンド。ボーカルの人は刺青びっしりに真っ赤なモヒカン頭という清く正しいジャパニーズ・ハードコバンンド。
「Fuck Off!」という絶叫から幕開けるステージは正しく反抗するという意味でパンクだった。しゃがれ声でシャウトするボーカルは一体何回「Fuck Off!」と叫んだのやらわからない。声質がジョニー・ロットンに似ている。円熟味もあるんだけどやんちゃな感じがしてよかった。曲はシンプルなハードコア・パンク様式だが相当速いスピードで駆け抜ける。コーラスはあるんだけどメロディアスさはあまりなく、本当掛け声という感じで高揚感はあるが曲自体はかなりハードコアだと思う。
曲が終わるたびに次やる曲の名前をコールし、一体どういったメッセージが込められているか(概ね曲名がそのメッセージを代表するワードで構成されているみたい)をぶっきらぼうな言葉で語って行く。これが全くもって自分たちの言葉という感じでまさにパンクスだった。ステージの強烈なライトの逆光に生えるモヒカンがかっこよかった。

kamomekamome@パースペース
Warheadを最後まで見終えてさては次はkamomekamomeだな〜と思ってバースペースに向かうとすでに人がパンパンでした…。完全に油断していた。新代田Feverで見たライブがとてもよかったので前の方で見たいなと思っていたのだが、そういえばあのときもすごく前の方はぎゅうぎゅうだったのだった。それでは!という感じで後ろで見たのだけど、もはやこの界隈のアイドルかってくらいの人気というか愛されようで、人が暴れる暴れる。ハードコア的な殺伐さではなくて笑顔で人がポンポン飛んでいる感じ。kamomekamomeは複雑な楽曲にメロディアスなパートがある曲が多いんだけど、メロディアスなところはみんな歌う。本当に後ろから見てそれと分かるくらい合唱。激しいだけだともっと殺伐とするし、メロディアスすぎたらもっとしっとりしてしまうし、両極端の要素を楽曲に融合させている本当にすごいバンドなんだな…と後ろの方から思ったりした。当たり前にかっこよかった。

EX-C@ステージ
続いては大阪のハードコアバンド。みるのも聞くのも初めてで名前も知らなかった。メンバーの方の様子から見てオールドスクールなハードコアバンドかなと思ったら全然違った。明らかにタフなバンドだった。基本的にボーカルの方がぎゅっと結んだバンダナが勇ましいレイジングなハードコアなのだが、曲にボーカルの入らないモッシュパートがあって、曲の速度がガクッと落ちる。するとフロアでは運動会が開催されるといった激しさ。一個前のkamomekamomeとはまた違った激しさでこちらはとにかく肉体的で拳やら足が振り回さられる剣呑なもの。といっても曲自体はストレートで勇ましいもので負の要素は皆無。もちろん前の方に行かなければ暴れなくてもライブを楽しめる。よく聞いてみると楽曲自体はただ暴れるための、というよりはツインのギターが叙情的なメロディを奏でたりとよくよく練られているものだったのが面白い。

Forward@バースペース
続いては東京のハードコアバンド。Death Sideという大変有名なハードコアバンドのボーカリストのIshiyaさんという方が今やっているバンドで、私はForwardもどちらも聞いたことがなかったのだが、Ishiyaさんのコラムを面白く読んでいたりしたので是非一度見たかった。見事に立ったモヒカンもあっていかついバンドかと思っていたし、実際相当いかついのだけど楽曲はちょっと思ってたのと違ってもっと温かみのあるものだった。メロディアスさはあまりない掛け声コーラスが雄々しいオールドスクールなハードコアなんだけど、Motorheadのようなロックなギターソロが結構入るのと、日本語歌詞を噛み含めるように独特の節でシャウトすると歌うの中間くらいで発生するボーカルで思ってたのよりもっと親しみやすい。速度もそんなに速くないのでギリギリ歌詞の短編が聞き取れるくらい。
お酒が飲めなくなったMCもそうだけどタイトな楽曲とシリアスさの中に柔和な一面があって、それがすごくよかった。個人的にはこの日とてもよかったバンドの一つ。また見たいです。

ENDON@ステージ
この日Wrenchとともに異色なバンドだったのではなかろうか。この日は結果的に出している音は違ってもハードコアバンドが集う日だったけど、ENDONの場合はバンドフォーマットを取っているけど出自がノイズで憧れからハードコアに接近した経緯があるから、そういった意味では明確に異色の人選だったのではと。
さすがの貫禄で全く動じずマイペースに最新アルバムの冒頭「Nerve Rain」からスタート。プロジェクターから放射される強烈な光が印象的で、チカチカ点滅するとメンバーの動きがコマ送りのように飛び飛びのように見える。ENDONの音楽は抽象的だが実際には物語性が明確にある。アルバムと同時に展開されたメンバーによる小説作品はオフィシャルでありながら、解釈でもあると思う。無数の解釈はあるのだが詳らかにされることを拒否しているようでもある。パンクスがやるハードコアは物語というよりはメッセージ(という物語である、ということもできるが。)だから、単に音楽以上の隔たりがあるかもしれない。そんなことを明滅するライトの白さに思ったりした。かっこよかった。

KiM@バースペース
続いて京都のバンド。このバンドはウッドベースがいるというのはなんとなく知っていたので一体どんな音になるのか気になっていた。さすがにウッドベースの存在感は半端ない。バーのステージは決して広くないのだが、くるっと回したり、掲げたりしていた。(重くないのだろうか。)
パンクスはメッセージだと思ったけどこのバンドはそのメッセージが強烈だった。そして音的には非常にタフ。不良を通り越して怖いです。”男らしさ”というのが強烈に意識されていて、それを曲に落とし込んでいる。わかりやすいモッシュパートがあるわけではないが、全編フロアが危険なことになっていた。バチバチ、カチカチなるウッドベースはさすがのかっこよさ。ロカビリー感というのはそこまでなかったけどシンプルかつ力強いハードコアサウンドに独自な音を追加していてかっこよかった。とにかくタフな男のハードコア、怖かった。

九狼吽@ステージ
続いて名古屋のハードコアバンド九狼吽。「クラウン」とよむ。ボーカルの人は巨躯でモヒカン頭、両目を横断するように黒い線を引いている。ベースの人は金髪リーゼントに鋲を打ちまくった革ジャンを着込んでいた。この日革ジャンを着込んでいたのはこの人だけかな?冷房効いているとはいえ暑かろうに。とてもかっこよかった。
ジャパニーズ・ハードコアスタイルだが、ボーカルがダミ声。曲の速度はWarheadよりは遅いかな?Forwardと同じくらいでおそらく日本語の歌詞が聞き取れるかな?くらい。コーラスワークが「お〜お〜」とメロディをなぞるように入ったりするから見た目に圧倒されるけど楽曲自体は結構聴きやすく、ライブハウスでは一体感が出る。あくまでもハードコアの音で中域をブーストしたどっしりとした温かみのある音で、Motorheadのようなロックンロールなリフや一点刻みまくるようなリフなど、ギタリストの方は豊かな表現力で曲に多彩な表情があるのが印象的。Warheadのようにメッセージを自分の言葉で(借りてきた言葉感ないのが良い)不器用ながらにもきちんと語ってそこから曲に流れ込むスタイル。まずはメッセージありきのパンクバンドだと思う。

ここでちょっとお休み。バーステージではMeaningが演奏中だが漏れてくる音を聴きつつ休憩。

Fight it Out@ステージ
トリは横浜のパワーバイオレンスバンドFight it Out。休憩中はステージの方にいたんだけ
ど出している音が凶悪でこの日見たどのバンドにも似ていない。
幕が上がってボーカルのYoungさんがフロアから柵に手をついてヒョイっと乗り越える様がかっこよかった。(結構高さがあるのを軽々飛び越えた。)
Black Ganionに似たソリッドな音だけどもっと厚みがある強烈な音で音質だけならかなりメタリック。ベースもガッチガチした音で、バンド全体で音響のせいか分離が良く、フロアに向けて放射される音に埋もれる感じ。始まってみればフロアではでかいピットが出来上がり。ボーカルの人はほぼステージから降りてフロアに。タフなんだけどKiMの盛り上がりとはちょっと違う感じ。こちらの方がもっと混沌としているのはパワーバイオレンスというジャンル故だろうか。高速と低速を行ったり来たりするめまぐるしい楽曲が次々と繰り出されていく。激烈な曲の中にもちゃんと決めどころがあって結構場所によってはみんな歌う(というか叫ぶ)。 例えば速すぎたりして曲が激烈だとなかなか乗りにくかったりするのだけど、Fight it Outはとても乗りやすいからすごい。最後にふさわしい盛り上がりだった。

ハードコアといってもやはり色々な種類があるな、と当たり前ながら思った次第。そういった意味でハードコアというところを共通点に全国のバンドを1日で見れてしまうとても良いイベントだった。ライブハウスの音響も良かったと思う。特にステージの方は。気になっていたバンドを見ることができたし、実際に見てみると色々自分の好みについても言語化できたりして面白い。
ありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿