2017年8月27日日曜日

Arms Race/New Wave of British Hardcore LP

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国はロンドンのハードコアバンドの1stアルバム。
2016年にLa Vida Es Un Musからリリースされた。
どうもあまりネットに情報のないバンドのようで2013年にはデモ音源を出しているから結成はそれ以前。現在は専任ボーカルにギタリストが二人の5人体制で活動しているようだ。私は全く知らなかったのだが来日するというので音源を買って見た次第。

「New Wave of British Hardcore」というタイトルが面白い。明らかに「NWOBHM」つまり「New Wave of British Heavy Metal」をもじっている。元ネタはニュー・ウェーブといっても1970年代のムーブメントなので、それから40年経って今度はハードコアの番だ!ということだろうか。
音の方はというと明らかにオールドスクール・ハードコアだ。最近はやりのモッシュパートを後列に意識したハードコアとも、ノイズなどの夾雑物を一切含まない混じりっけなしのハードコアだ。速度は速いがパワーバイオレンスとは明らかに違うどっしりと構えたハードコア。全身が固い筋肉で覆われたしなやかで攻撃的なそれである。ちなみにバンド名は「銃器競争」ではなく「軍事拡張競争」という意味だそうだ。
カチカチに固めたスネアの音が気持ち良いドラムが気持ちが良い。いわゆるDビートとは異なってよく動くベースと相まってより開放感がある土台を作っている。ギターに関してもざらついたほどよい厚みのある音で、クラスト勢に比べると圧倒的にグルーヴィでミュートをあまり使わない弾き方もあってとにかく前に前に出る。ただ早く突っ走るのではなく、曲に展開をつけているのでそこで緩急が生まれる。ギターソロは皆無でほぼほぼハードコアのビート感の詰まった疾走感で空間を埋めていく。店舗のチェンジとリフの転換がカッツリ合わさって非常に気持ちが良い。
どうもボーカリストの方は2000年代後半から2012年頃の英国のハードコアについて不満があるらしく(曰くうつ病の時期)、それに対する生きの良いハードコアという意味でNew Wave of British Hardcoreというムーブメントを盛り上げ、そして初のフル音源の冠にその言葉を選んだようだ。なるほどリバイバルの雰囲気はありつつも、ハードコアの真髄である生きている、気力のある、そして聴く人を奮い立たせる音楽を演奏している。ピットが盛り上がれば良いとはやはりボーカリストの言で、わかりやすく踊れる(=暴れる)パートがあるわけではないが、やはり体が動いてしまうあのつんのめるようなハードコアのビートにあふれている。

音源を購入してから知ったのだが、ライブ写真を見ると非常にいかつい。音源よかったらライブ行こうかな、とか思っていたが私のような者が入ったら死ぬのでは、と身の危険を感じるレベル。非常にタフだ。怖いものみたいさでちょっと興味があるな、ライブ。
非常にタフなハードコア。この時代生き残るには力強さが必要だと思う人は是非どうぞ。夢見る隙がないほど肉体的な音楽。とてもかっこいいです。

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