2018年2月4日日曜日

assembrage/A Curtain Call of an Aeon

日本は大阪府のデスメタリック・ハードコアバンドの1stアルバム。
2017年にGuerrilla Recordsからリリースされた。assembrageは2011年に結成されたバンドで現在のメンバーはCataplexy、Second to None、Greenmachineなどのメンバーでもあるようだ。どうもフライヤーを見るとバンド名は「Assembly of the Rage」を短く詰めたもののようだ。

全15曲で9曲がアルバム用の曲、残りの6曲は2014年にリリースされたLP「A Wheel of Wraith」収録の曲を取り直したものということ。装丁も凝ったものになっていて、ジャケットの表の緑色のもやもやはスリーブではなくケースに直接塗装が施されている。1stプレスは発売後にすぐに完売し、今売っているのはケースの緑の塗装を赤に変更した2ndプレスとのこと。
「アイオーンのカーテンコール」というタイトルでアイオーンには調べてみるといろいろな意味があるそうだ。曰く「時間」「時間の神」「真の神」など、どうやら様々な神秘思想で用いられる言葉らしい。インナーも開いていみると凝った世界観が提示されており、重厚な物語性があるという意味ではメタル的である。
音の方はと言うと強烈に撓ませひび割れた音が特徴的なサウンドが耳を突く。いわゆるスウェディッシュという言葉で評されることもある得意なサウンドで、ギターにHM-2というエフェクターを噛ませて作るあのサウンドである。レーベルインフォによるとこのエフェクターをフルテン、つまり効果をかけるつまみをマックスまで振り切らせているとのこと
。チューニングも下げているし実際相当な低音なのだが、このサウンドはただ重たさ一辺倒ではなく、やはりグチャッと潰れたような、ひび割れてささくれだち、意図的な雑味が聞いている。ドス(またはエフェクターかな?)の効いたボーカルも同様にひび割れた声で低音うめき声から高音喚き声。どう考えてもユーザーフレンドリーな音楽ではないので圧倒される。「これは気合の入ったデスメタルだなあ」と私は思っちゃったわけなんだけど、3曲くらい聴いていると不思議なもので音の衝撃から立ち直って慣れてくる。どっしり構えてずんずん進むドゥーミィなデスメタルとは違う。装飾過多な荘厳さはあまりなく代わりにもっとストレートな突進力がある。かなりハードコア的なアプローチで、この音でハードコアというとTrap Themが頭に浮かぶけどあそこまで冷血でカオティックではない。なんかもっとこう熱く、血潮がたぎるような、とここでそうか日本のハードコアか!と納得がいく。かなりいかつい音なのではじめは気が付かないのだが、速く重たく、しかし爽快で気持ちがよく、なにより聴いている人を熱く盛り上げる情熱をもったあのハードコア。そう考えるとメタルから持ち込んだ色彩豊かでテクニカルなリフと感情のこもったメロディアスなギターソロが説得力を持って前にせり出してくる。もちろんアンダーグラウンドな音楽であることは間違いないだろうが、思ってたよりずっと聞きやすい。唸るツインギターのソロなんてクラシカルであり、この間再発されたDeath Sideを彷彿とさせる。個人的に好きなのはボーカルでここだけは完全にメタル的なアプローチだと思う。だから熱いハードコアサウンドと相克と対比がよく出ていて陰影がきっちりしているし、オリジナリティが出ている。ただ熱いねえ!というのではなく、まず一回は完全に初見でぶん殴ってくるみたいな迫力があり好きだ。

HM-2を使った音でハードコアをやるというアプローチで冷たい方に走った海外勢と、真逆の熱い方に走った日本と差が出て面白い。熱いハードコアが好きな人は是非どうぞ。

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